メタプラネットだけじゃない!国内ビットコイントレジャリー「後続5社」の戦略を徹底比較

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メタプラネットの成功で注目集まる「ビットコイントレジャリー戦略」

2025年、株式会社メタプラネットがビットコインを財務資産の中核に据える「ビットコイントレジャリー戦略」を発表し、株価が急騰したことは多くの投資家の記憶に新しいでしょう。この成功を受け、日本国内でも同様の戦略を打ち出す企業が次々と現れています。

しかし、その目的や戦略は各社各様です。この記事では、メタプラネットに続く国内の主要なビットコイン保有企業をピックアップし、それぞれの戦略の違いを徹底的に比較・解説します。「第二のメタプラネット」を探す投資家が、表面的なニュースに惑わされず、本質を見抜くための一助となれば幸いです。

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おさらい:ビットコイントレジャリー戦略とは?

ビットコイントレジャリー戦略とは、企業が自社の財務資産(トレジャリー)の一部または大部分として、法定通貨(円やドルなど)の代わりにビットコインを保有する戦略のことです。インフレによる現金価値の目減りを防ぐ「守り」の側面と、ビットコインの価格上昇による企業価値向上を狙う「攻め」の側面を併せ持っています。

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なぜ今、日本企業がビットコイン保有に動くのか?

背景には、長期化する円安やインフレへの懸念があります。従来の日本円を中心とした財務戦略だけでは、資産価値を維持することが難しくなってきたという経営判断が、各社をビットコイン保有へと突き動かしているのです。

【一覧比較】国内の主要ビットコイン保有企業とそれぞれの戦略

現在、ビットコイン保有を公表している国内の主要企業を、その戦略タイプごとに整理しました。各社の違いが一目でわかるようにまとめています。

会社名本業戦略タイプ保有目的(要約)
堀田丸正繊維製品企業変革型BTC事業への完全転換
コンヴァノネイルサロン運営企業変革型WEB3プラットフォーマーへの飛躍
リミックスポイント暗号資産交換業本業シナジー型本業との連携、株主価値共有
ネクソンゲーム財務戦略(守り)型インフレヘッジ、資産分散
Def consultingコンサルティング財務改善・起死回生型上場維持基準達成、企業価値向上

戦略別に見る各社の特徴と狙い

一口に「ビットコイン保有」と言っても、その背景にある戦略は大きく異なります。ここでは、上記の企業をタイプ別に掘り下げて見ていきましょう。

①「企業変革型」:ビットコイン事業への転換を賭ける戦略

本業そのものをビットコイン中心の事業へと変革しようとする、最も野心的なアプローチです。

堀田丸正:米Bakktと提携し「bitcoin.jp」への転換を目指す

繊維製品の企画・卸売を手掛けてきた同社は、米国の暗号資産プラットフォーム「Bakkt」と提携し、社名を「bitcoin.jp」に変更する計画を発表。事業の完全なピボット(方向転換)を目指しており、メタプラネットに最も近い戦略と言えるでしょう。

コンヴァノ:長期KPIを設定し、規律ある積立投資を宣言

ネイルサロン「FASTNAIL」を運営する同社は、2027年3月末までに21,000BTCを保有するという長期KPI(重要業績評価指標)を設定。単なる財務戦略に留まらず、「日本発のWEB3プラットフォーマー」への飛躍を掲げており、明確な目標を伴った企業変革を目指しています。

②「本業シナジー型」:既存事業との連携を図る戦略

自社の既存事業とビットコイン保有を連携させ、相乗効果を狙うアプローチです。

リミックスポイント:暗号資産交換業が本業。報酬のBTC払いも

暗号資産交換所「BITPOINT」を運営する同社にとって、ビットコインは本業そのものです。特筆すべきは、代表取締役の役員報酬を全額ビットコインで支払うという取り組み。これは、経営者が株主と経済的リスク・リターンを共有するという強いメッセージであり、本業への自信の表れと解釈できます。

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③「財務戦略(守り)型」:インフレヘッジとしての保有

企業価値の向上(攻め)よりも、法定通貨の価値減少リスクに備える(守り)ことを主目的とする、比較的保守的なアプローチです。

ネクソン:2021年にいち早く導入した先駆者

オンラインゲーム大手のネクソンは、2021年に約1億ドル相当のビットコインを購入しました。その目的を「長期的な株主価値を守るための、現金性資産の減価に対するヘッジ」と説明しており、国内上場企業としてはインフレヘッジ目的での保有の先駆け的な存在です。

④「財務改善・起死回生型」:株価・時価総額向上を目指す戦略

ビットコイン保有というテーマ性の高い戦略を通じて、財務状況の改善や株価の向上を直接的に目指すアプローチです。

Def consulting:上場維持基準達成を目的の一つに

コンサルティング事業を行う同社は、東証グロース市場の上場維持基準である時価総額40億円を下回っているという課題を抱えていました。この状況を打開すべく、ビットコイン財務事業を第二の柱とし、企業価値向上と上場維持を目指すことを明確に打ち出しています。

まとめ:投資家が「第二のメタプラネット」を見極めるための3つの視点

ビットコイントレジャリー戦略を採用する企業は今後も増える可能性があります。投資家としてその企業の将来性を見極めるために、以下の3つの視点を持つことが重要です。

視点1:本業との関連性と持続可能性

ブームに乗っただけの戦略ではないか? 本業とシナジーがあるか、あるいは事業転換するだけの覚悟と具体的な計画があるかを見極める必要があります。

視点2:経営陣の本気度と情報開示の透明性

なぜビットコインを保有するのか、その哲学やビジョンは明確か。リミックスポイントの役員報酬のように、経営陣がリスクを取っているか、また、情報の開示は迅速かつ透明性が高いかどうかも重要な判断材料です。

視点3:株価の「プレミアム」は妥当か

ビットコイン保有のニュースだけで株価は先行して上昇しがちです。企業の純資産と保有ビットコインの時価を合計した「実質的な価値」に対し、現在の時価総額がどれだけのプレミアム(期待値)で評価されているかを冷静に分析することが不可欠です。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、金融商品の売買や特定の税務・法務戦略を推奨するものではありません。投資、税務、法務に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において、各分野の専門家にご相談の上で行ってください。

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