【日本株】KLab、TORICO、モブキャスト…上場企業の「新型トレジャリー戦略」を徹底比較

暗号資産

はじめに:「ビットコインを買うだけ」の時代は終わった

2025年、日本の株式市場を席巻した「ビットコイン・トレジャリー」ブーム。その先駆者であるメタプラネット社に続き、年末にかけて新たな動きが加速しています。

それは、単にビットコインを持つだけでなく、企業の財務戦略や事業モデルに合わせて「金(ゴールド)」「イーサリアム」「ソラナ」といった異なる資産を組み合わせる、いわば「トレジャリー2.0」とも呼べる高度な戦略です。
本記事では、直近で話題となった国内上場3社の事例を分析し、それぞれの狙いと投資家への影響を解説します。

事例①:KLab「デュアル・ゴールド・トレジャリー」

【戦略】ビットコイン × 金(ゴールド)のハイブリッド

ゲーム大手のKLabが発表したのは、「デジタルゴールド(BTC)」「リアルゴールド(金)」を同時に保有する戦略です。

  • 狙い:ボラティリティ(価格変動)の激しいBTCと、安定資産である金を組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを低減させます。
  • ここが凄い:単なる分散ではありません。彼らは「シャノンの悪魔(Shannon’s Demon)」と呼ばれる数学的理論を応用し、2つの資産のリバランス(比率調整)を繰り返すことで、相場が横ばいでも資産が増える仕組みを構築しようとしています。
  • 評価:「暗号資産は怖い」という保守的な株主にも説明がつきやすく、かつBTCの爆発力も取り込める、極めて理にかなった防御型の戦略です。

事例②:TORICO「イーサリアム・トレジャリー」

【戦略】保有するだけで「利回り」を生む仕組み

漫画全巻ドットコムなどを運営するTORICOは、時価総額2位の「イーサリアム(ETH)」を財務資産に採用しました。

  • 狙い:ビットコインとの最大の違いは「インカムゲイン」です。ETHはステーキング(預け入れ)を行うことで、ネットワークから報酬(利回り)を得ることができます。
  • ここが凄い:彼らはこれを「稼ぐトレジャリー」と定義しています。単なる値上がり益(キャピタルゲイン)頼みではなく、保有中もチャリンチャリンと収益が入るため、PL(損益計算書)上の営業外収益を押し上げる効果があります。
  • 評価:配当原資を確保したい企業にとって、利回りを生まないBTCよりも、利回りを生むETHの方が「株主還元」との相性が良いという新しい視点です。

事例③:モブキャストHD「ソラナ・トレジャリー」

【戦略】投資ではなく「事業」としてのバリデータ参画

モブキャストHDが選んだのは、高速ブロックチェーンの「ソラナ(SOL)」です。

  • 狙い:彼らは単にSOLを買うだけでなく、ブロックチェーンの承認作業を行う「バリデータ」としてネットワークに参加する権利を得ました。
  • ここが凄い:これは財務戦略であると同時に「新規事業」です。バリデータ報酬を得るだけでなく、ソラナ経済圏の企業と提携し、Web3ゲームやエンタメ事業へのシナジーを狙っています。
  • 評価:「投資家」としてではなく「プレイヤー」としてエコシステムに飛び込むことで、本業の成長につなげる攻撃的な戦略です。

まとめ:企業の「色」が出るトレジャリー戦略に注目せよ

2025年の終わりに見えてきたのは、「どのコインを持つか」が、その企業の「経営思想」を表すようになったという事実です。

企業名 採用資産 戦略キーワード
メタプラネット Bitcoin ビットコイン至上主義、発行体としてのレバレッジ
KLab BTC + Gold 安定と成長の両立、リバランス収益
TORICO Ethereum インカムゲイン、キャッシュフロー重視
モブキャスト Solana エコシステム参加、事業シナジー

投資家としては、単に「暗号資産を買ったから買い」と飛びつくのではなく、その戦略が企業の成長ストーリーと合致しているかを見極める必要があります。

2026年は、こうした「トレジャリー2.0」を採用する企業がさらに増えるでしょう。日本株投資においても、バランスシート(B/S)の分析がかつてないほどエキサイティングになってきました。

【免責事項】
本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。各社の発表内容は執筆時点(2025年12月)のものであり、変更される可能性があります。投資判断はご自身の責任において行ってください。

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